私がヨルシカさんを知ったのは代表曲「だから僕は音楽を辞めた」をYuNiちゃんとサントリー公式バーチャルYouTuber燦鳥ノム(さんとりのむ)さんがコラボでカバーした時でした。
この時は2人がコラボをしたことに目が行ってしまって、ヨルシカさんの存在を意識したのはその後キズナアイちゃんが「だから僕は音楽を辞めた」をカバーした時です。
ここで初めてヨルシカさんの原曲を聞きに行ったのを覚えています。
その後素晴らしい「藍二乗」や「花に亡霊」のカバーを聞いてますますヨルシカさんの楽曲に興味が湧いて、2020年7月にリリースされた最新アルバム「盗作」を入手しました。
正直に告白するとYoutubeでヨルシカさんの原曲を聞いた時はあまりいい印象を持ちませんでした。
たまたま聞いた曲が声が遠いようなものばかりだったせいで良さがイマイチ分からなかったのですが、「盗作」を音源で聞いたら透明感とミステリアスな雰囲気のある魅力的な声だとはっきりと分かって一気に惹かれました。
もう何度も聞いているヨルシカさんの3rdアルバム「盗作」の感想を書いていきます。
3rdアルバム「盗作」について
まずヨルシカさんとはコンポーザーのn-bunaさんとボーカルのsuisさんによる2人組のバンドユニットです。
2017年に結成、2019年にユニバーサルJよりメジャーデビューしました。
n-bunaさんとsuisさんとも「先入観を持たずに曲を聞いてほしい」という想いから名前以外の情報を一切公開していません。
n-bunaさんはボカロPとしても活躍されていて、Vtuberが多くカバーしている「ウミユリ海底譚」や「ラプンツェル」を手掛けていることを知って驚きました。
チャンネル名が「ヨルシカ / n-buna Official」になっているのも納得しました。
ヨルシカさんの3rdアルバム「盗作」のアルバムトレイラーがこちらです。
この公式のトレイラーも素晴らしい作品のようです。
2020年7月29日に前作から約1年ぶりにリリースされ、全14楽曲が収録されています。
14楽曲とは言ってもうち4曲はボーカルがない曲なので、実質10楽曲で考えていいと思います。
「盗作」というとんでもないタイトルが付いていますが、「音楽の盗作をする男」を主人公としたコンセプトアルバムになっています。
コンセプトをあまり意識せずに流して聞いていた時には儚げでミステリアスな印象でしたが、盗作というコンセプトを意識して歌詞をしっかり聞くようになると破壊的で凄くパワフルな楽曲達だと気付きました。
大きなガラスの塊を力任せに叩きつけて粉々になる瞬間の刹那的な美しさを感じるのと同時に、悪いことをしてしまった背徳感と壊した爽快感の混じったような感情を感じます。
ヨルシカさんと言えば「夏」や「切なさ」を感じる曲が多いらしいのですが、このアルバムからも夏や切なさを感じることが出来ます。
11番「逃亡」は夏の夜が描写された楽曲ですし、劇場アニメーション「泣きたい私は猫をかぶる」挿入歌「夜行」は夏の終わりのお別れが描写されていて、同じく「泣きたい私は猫をかぶる」主題歌「花に亡霊」は夏の思い出が描写されています。
だから最初にヨルシカさんの「盗作」を通して聞き終えた時に感じたのが、「夏が終わりかけているこの季節にピッタリのアルバムだな」でした。
音楽の盗作をする男を主人公とした挑戦的なコンセプトアルバムですが、ヨルシカさんらしさも大切にしているそんなアルバムなのかなと思いました。
「盗作」で私の好きな曲
ヨルシカさんの3rdアルバム「盗作」の収録曲の中で「花に亡霊」しか知らず、「花に亡霊」目当てで入手したと言っても過言ではありません。
逃亡、夜行、花に亡霊の夏の終わりを感じさせる流れは本当に素晴らしいです。
ただ「盗作」の中で私が一番好きな曲は「爆弾魔」です。
ボーカルのsuisさんの澄んだ声で爆弾のような破壊衝動を歌っているのがアンバランスでかっこよくて特に気に入りました。
「爆弾魔」の公式MVは公開されていないので、1曲目はやはり「花に亡霊」を紹介します。
「花に亡霊」は劇場アニメーション「泣きたい私は猫をかぶる」の主題歌として起用されました。
公式MVの映像も美しいですね。
今はもう戻れない学生時代の夏を強烈に思い起こさせるそんな曲だと思います。
暑い空気、蒸発する水、草や地面などの夏の匂い一気に蘇らせてくれます。
夏に亡霊という曲名でも良かったように思いましたが、歌詞の中に「夏に咲いている花に亡霊を」とあるように花火のことを指していたことに気付きました。
夜空を彩る美しい花火は形に残らなくても心の中に残る、夏の思い出の1つです。
「花に亡霊」を聞き終えた時に切なさを感じるのですが、もうあの夏には戻れない切なさと言うよりは花火が上がりきって終わってしまった時に「夏もそろそろ終わりだな」と思う、そういう種類の切なさかもしれないとふと思いました。
夏の匂いと花火を同時に描写して思い起こさせてくれる儚げで美しいアルバムの最後にふさわしい曲でした。