春日望さんがたくさんの葛藤の末に少しでも正しい情報を届けたいと動画を投稿されました。
キズナアイ引退に関する正確な情報を動画で出したわけですが、それとは別に個人的にツイッターなどを見ていて気になるのが「Acitiv8株式会社の赤字」に関する誤解です。
Activ8株式会社とはキズナアイちゃんが所属していた支援プロジェクト「upd8」の運営会社であり、5月11日に誕生する「Kizuna AI株式会社」はこのActiv8株式会社から分社化して設立されます。
とんでもない赤字で会社が潰れてしまうのではないかくらいの誤解ならまだ理解出来るのですが、わざと赤字であることを強調したり逆に全く見当違いな思い込みで赤字を心配する人を批判している人を見ると嫌な気持ちになります。
運営会社であるActiv8についてはタブー視されていたためサイトで取り上げる時にもupd8関連で名前を出すだけでしたが、Kizuna AI株式会社の設立で運営を隠す風潮は完全になくなったと判断し今回取り上げることにしました。
Activ8株式会社の2019年8月期 (第3期) 決算で発表された6億7500万円の最終赤字についての誤解、そしてこの決算の本当の問題点について私なりに解説していきたいと思います。
6億7500万円の赤字の理由とこの赤字が問題でないわけ
解説に辺り一番シンプルにグラフを作成しました。
会計的にはグラフも説明に使う用語も間違っている可能性があることをご理解いただけると幸いです。

決算で発表された情報を最もシンプルにグラフにするとこうなります。
Activ8の6億7500万円の赤字について一番誤解されている「会社が潰れてしまう」ですが、グラフを見れば分かる通り問題ありません。
6億7500万円という大きな数字だけがクローズアップされて問題視されていますが、資本金が6億9500万円存在している点にはほとんど触れられていないため問題があるように見えるのです。
資本金とは簡単に言うと会社の運転資金、手元資金のことです。
2018年8月28日、Makers Fundと株式会社gumiより第三者割当増資で総額約6億円の資金を調達を発表した時に資本金6億9500万円と公表しました。
そもそもこの赤字はなぜどのような理由で発生したのか疑問だと思います。
公表されていないことなので正確ではないのかもしれませんが、Activ8株式会社は最新技術を備えた用途に合わせて使える4つのスタジオを完備したオフィスに移転しています。
バーチャルライバーグループ「にじさんじ」が3次元モーションキャプチャシステム「VICON」を導入し大きな話題になっていましたが、システムの導入だけで数億円掛かると言われていたのを目にしました。
Activ8の6億7500万円という大きな赤字の理由はオフィス環境への設備投資が大部分を占めている可能性が高いと私は予想しています。
理由もなく6億円の赤字が発生していたら大問題ですが、恐らく自社内のスタジオへの設備投資のために発生した赤字であり6億円の増資を受けて資本金が赤字と同額以上に存在する状態です。
設備投資のため予め発生する予定の赤字であり、しっかりと増資を受けた上で発生したものなので6億7500万円の赤字で会社が潰れる事態が起きるわけがなく事業が失敗したと言われているのも誤解です。
例えば700万円の贈与を貰って700万円の自動車を購入するようなもので、使ったお金だけでなく持っているお金にも注目すれば何の問題もなく極めて自然な流れで行動していることが分かると思います。
今回の決算で利益剰余金も大幅な赤字で債務超過状態であったので全く問題ないわけではないのですが、2020年4月1日に株式会社小学館、株式会社Too、株式会社ホリプロなどを引受先にした約10億円の第三者割当増資を実施して債務超過は解消されたはずなのでやはり今回の赤字で会社が潰れるようなことはないでしょう。
本当の問題点は見えない1年間の売り上げ
Makers Fundと株式会社gumiの約6億円の第三者割当増資がスタジオなどの設備投資を目的としたものだと仮定した話です。
設備投資用に6億円の増資を受けて、予定通り6億円を使って設備投資をした結果6億円の赤字が計上された。
一見何も問題がないように見えますね。
しかし「見えない1年分の売り上げ」はどうして見えなくなったのかが今回の決算で本当の問題点です。

簡単にグラフにするとこのようになります。
青の1年分の売り上げが本当は存在したはずなのです。
2019年の第3期決算ということはキズナアイは2018年10月の9週連続楽曲リリースや5000人以上を動員した初の単独ライブ「Kizuna AI 1st Live “hello, world”」開催、日清カップヌードル味噌のCM起用など華々しく活躍していた期間中の決算のはずなのです。
6億円を掛けて設備投資する予定で最終赤字が6億7500万円ではおかしいのです。
2億の儲けが発生していたなら赤字は6-2で4億円に、4億の儲けなら6-4で2億円の赤字にならなければならないのです。
最終赤字とは収益から費用を引いた額のことです。
キズナアイの活動は絶好調で音楽関係の活動だけで大きな売り上げが発生していたはずで、最終赤字が6億7500万円だったということは売り上げと同額の赤字が発生していて相殺されたために見えなくなってしまったと考えられます。
売り上げを相殺するほどの赤字とはどんなものか予測してみます。
最もシンプルに考えると設備投資に使ったです。
スタジオなどへの設備投資は6億円よりもずっと大きな額になり、それが売り上げを相殺してしまったと考えるのが無難な気がします。
例で自動車を使いましたが、想定していた自動車の購入費用と実際の購入費用では実際の購入費用の方が高くなるでしょう。
追加したオプション、想定していなかった税金や費用が発生するものです。
せっかくなので売り上げも使ってより良いオフィスになるように設備投資に回した、あるいは想定していたよりも余計に費用がかかってしまったことは十分に考えられます。
ただ同時に大金を使うオフィスの移転および設備投資なのだから正確な金額を見積もりを取って行ったはずで、想定を大幅にオーバーするような事態は起きないのではないかとも思ってしまいます。
売り上げを使って意図的に設備投資した可能性はあります。
他に考えられる可能性は、売上を相殺するほどの事業赤字が発生した場合です。
これは私の完全な妄想なので話半分で見てほしいのですが、個人的に大きな赤字が発生する可能性があったのは2019年8月のコミックマーケット96のupd8 & collaboration!が怪しいのではないかと思っています。
売り上げなど当然公開していないので個人的な予想ですが、大きな赤字が発生するとしたらC96のコミケだった可能性はありえます。
なぜこのような妄想をするのかと言うと、まず分裂騒動が本格化したのは分裂キズナアイが本格始動した6月以降です。
分裂騒動があってキズナーが何人も離脱しています。
C96ではupd8メンバーではYuniちゃんと同じく2万円のキズナアイセットを2種類販売していました。
さらに3万円の複製原画2種類と5000円のキズナアイちびキャラセット、4000円の名言Tシャツを販売していました。
一番高い複製原画の完売情報は見たのですが、キズナアイちゃんの他のグッズの完売情報は記憶が怪しいのですが見ていないと思うのです。
分裂騒動を全く想定せずにグッズを用意してしまい、騒動で予想以上に購入者が減ってしまった結果大きな赤字が発生した可能性があるのではないかと私は思っています。
グッズは売れれば利益になりますが、逆に余ってしまうと制作費が掛かった結果だけが残り量が多ければ保管費や処分費という余計な費用まで発生します。
C96で大きな赤字が発生したというのは私の妄想でしかなく、どうして大きな赤字が発生したのかあえて私達に説明する義理もありません。
決算も公開されていないので、音楽関係で大きな費用が発生していた可能性や売り上げが想像よりもずっと少ないのかもしれません。
結局は売り上げと合わせて最終赤字が6億7500万円発生しているが問題ないことだけしか分かりませんが、もしそれなりの売り上げが発生していたのに見えなくなってしまっているのなら問題はなくてもあまり良くない兆候かなと個人的には思います。
次の決算では小さな額でも黒字を計上して余計な誤解が発生しないで済むように祈っています。